Dead Musicians Society

日々の話や音楽工房ピーチジャムのことを綴っていきます

Raised on Radio

風邪をひきました。

こんな時、私の友達はラジオです。

テレビもあるんですが、あれって結構、体力を奪われるんです。

そんなワケでラジオです。

とりあえずFMで局探し。

びっくりしました。

日本放送や文化放送がFMに進出していた。

全く知りませんでした。

で、まあお約束のJ-WAVE

しかし、つまらない。

確かJ-WAVEって開局したての頃は、ほぼ音楽ばかり流していた気がします。

それもあまり知らないような曲もあったりして。

やっと日本にもこんな局ができたかと、喜んでいた事を思い出しました。

しかしどうでしょう、今のこの状況。

ま、番組をしっかりと作り込んでいるって言えば良く聞こえます。

でも、これじゃ東京FMとなんら変わりないですね。

もう音楽の割合が半分くらいなんじゃないのかなぁ。

一言で言えば「絵のないテレビ」のような感じ。

本当はもっと色んな音楽を流して欲しいのに、新し目の曲がほとんどで、まずアルバムの中でシングルカットされていないような曲がかかる事はほぼないのでしょうね。

インターFMが多少頑張って音楽本位でやってくれているみたいですが、いかんせん電波弱くてはいりません。

どうしてなんでしょうね?

どうなっているんでしょうか、日本のラジオ業界さん。

私はただただ音楽を聴きたいだけなのに。

家で自分の好きな曲を聴くよりも、ラジオを聴く方が楽しいんです。

何がかかるか分からないからです。

特に80年代の曲だったらかなりの確率で口ずさむ事ができます。

しかしどこの局も似たり寄ったり。

風邪でうなされ、ラジオにも見放された私が絶望の一歩手前で思い出したのは・・・

 

FEN

 

そうです。米軍です。

昔は英語の勉強としてよく聞いてましたっけ。

FENはアメリカ本土のライブなんかも聴けたりするんですよ。

早速 チューン・イン!!

すぐに入ります。

810kHzです。

さすが米軍。

電波の強さが違います。

でもジングルでAFNって言ってます。

で、調べたらFENから現在はAFNに変わったのだそうです。

でも内容的にはほぼ一緒だそうで、安心です。

やはりいいですね。

時間の頭にちょっと英語のお知らせや軍関係の事、ニュースなどが入るだけ。

あとはほぼ音楽。

しかも選曲もグー。

新しいものから古いものまで良いものを取り揃えております。

DJをしているのは全て現役の兵隊さんなんだそうですよ。

DJですよ。

ディスクジョッキーですよ!

今、日本のラジオ局にDJと言える人って本当にいるんでしょうかね?

は?パーソナリティ? ナビゲーター? なんぼのもんじゃいっていう事ですよ。

やはりDJの仕切る番組が聴きたいんです〜。

ただDJの趣味が合わなかったりすると最悪なんですけどね。

そしてなんとAFN、現在はアプリでも聴く事ができるそうです。

これはありがたい。

前にも話したSuper Rock KYOI 共々聴かせていただきます。

それにしても、日本国内にもこんなラジオ局ができないもんでしょうかね。

自衛隊さん、どうでしょうか?

それでは。

 

 

Raised on Radio

Raised on Radio

 

 

ついに、ついに・・・

買ってしまいました。

 

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じゃーん!

 

MV50クリーンのセットです。

つまりMV50とスピーカーキャビネットのセット。

品薄と聞いて思い切って買ってしまいました。

それにしても思っていたより梱包が大きくてビックリ!

 

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とりあえず、いつもの儀式を済ませます。 

 

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箱を開けるとこんな感じ。

 

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これがヘッド部。

 

 

 

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こんな感じです。

 

f:id:kusaka_moon:20170429200107j:plainLunchboxの上に乗っけてみました。

本当に小さいですね。

MV50はその大きさゆえに、ひょっとしてLunchboxと比べられる事が多いのではないかな?

でも実際はスピーカーキャビネットに繋がなければ音が出ないので、小ささという点ではコンボアンプのLunchboxに軍配です。

 

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ACアダプターはちょっとかさばる感じです。

 

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こちらはBC108スピーカーキャビネットの箱。

 

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こんな感じです。

思っていたよりは・・・大きいかな。

何せ基準がLunchboxなものですから仕方ないですかね。

 

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で、そのLunchboxとの対比です。

VOXの方は奥行きがあり、正面からみた感じもわずかに大きいです。

でも重さはヘッド部とキャビネットを合わせてもVOXの方が軽いようです。

 

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エコスイッチというのは15分くらい無音状態が続くと勝手に電源を落としてくれる便利だかなんだか良くわからないもの。

ある程度の音量が出ていないと無音とみなされるようで、小さな音で弾いていたらいきなりブチッと切れました。まあ使わないかな。

アッテネーターというのは出力が3段階に切り替えられるもので、部屋で弾く時は1/100(最低)で良い感じです。それでも大きいかもしれません。

EQはフラットとディープがあり、小さなキャビネットの場合はディープが良いと書かれてますがそのへんは各自の好みで。私は飾り気のないフラットの方が良い気がします。

前面はトレブル、ベース、ボリュームのノブとVUメーターのみ。

この潔さがいいですね。

 

弾いた感じ。

まず本物のチューブサウンド。

チューブサウンドをよく「暖かい」と例える事が多いですが、私はちょっと違います。

何と言いますか、音がグラマラスですね。

ちょっと変な例えですが、昔行ったビアガーデンにバドガールのお姉さん方がおりまして、人によっては体型に自信が無いのかワンサイズ上のコスチュームを着ているんです。

でもあのコスチュームが魅力的に見えるのはワンサイズ下。

ちょっとムッチリとした感じが良いんですよね。

まさにこのアンプの音はそんな音なんです。

あのチューブのムッチリとしたコンプ感なんです。

しばらくチューブアンプで鳴らしていませんでしたから、ちょっとチューブの感じを忘れていました。

キャビネットは本当に良くできてます。

しっかり箱鳴りしてます。

これはZTには全く無い感じ。

スピーカーは8インチ。ZTは6.5インチ。この差は大きいでしょうね。ZTも中々良い音を出してくれていましたので、もうチューブアンプはいいかなぁ、なんて思ってもいました。

しかし現代の科学があの面倒くさいチューブアンプをこんなにも手軽にしてくれるなんて。

それとZTの最大の欠点であったあのホワイトノイズはこのアンプではほぼありません。

ホワイトノイズは音が出ている時は全く気にならないんですけどね。

音量ですが、こればっかりは自宅では比較できませんね。

ZTは200Wですし、MV50はチューブで50Wですから両者かなり大きな音が出るのではないかと思います。

持ち運びやすさと言う点ではZTでしょう。

何せ専用のキャリングケースに入れて背負ってしまえばオーケーですから。

総合的に見てどちらか?と聞かれれば・・・MV50でしょうか。

うん〜、やはり音は圧倒的にチューブが好み。

という事になります。

またしばらく使ってみて、気がついた事がありましたら報告いたします。 

 

 

オモウツボ

チップス先生さようなら」という映画をご存知ですか?

ピーター・オトゥールが主演の方です。

結構長い映画で、確か途中で休憩が入ったと思います。

イギリスの、あるパブリックスクールの一人の真面目な教師の話です。

真面目がゆえに誤解されることもありますが、それでも自分に正直に生きて、自分を貫いて行くというとても感動的なお話でした。

まあ、結構昔に観た映画なので細かいことなどはちょっと忘れてしまいました。

しかし印象に残ったシーンがありました。

第二次大戦中ドイツ軍のロケット攻撃の中、彼はそれでも生徒の為に教壇に立とうとするのです。

彼を止めようとする者に彼はこんな風に言います。

 

ヒトラーの狙いは我々英国人の日常生活を不安によって奪うこと。ここで授業を止めたら奴らの思うつぼだ!

 

うろ覚えですが確かこんな感じだったと思います。

 

さて最近、テレビやマスコミが色々騒ぎ立てていますね。

ミサイルが飛んでくるだのこないだの。

日本だけではありません。

世界中でテロによる不幸な事件が多発しています。

確かに、不安ではあります。

もちろんそういった事態に備えるのは大切です。

しかしこういった不安に陥れられるのは、それこそ「奴ら」のオモウツボ

一番の対抗手段とは?

それは普通の日常を生きることなのではないでしょうか?

普段と同じ行動をとることこそが「奴ら」に対する最良の答えだと思います。

そういうワケで私はギターの練習をします。

では。

 

 

 

チップス先生さようなら(1969) [DVD]

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Play it by EAR !

" Play it by ear "という熟語があります。

意味は臨機応変にとか、その場の成り行きで、とかいう意味です。

そうです、この熟語はジャズからきているんです。

つまりジャズは譜面を見ずに耳を使ってアドリブで演奏することからこんな言葉が生まれたようです。

ジャズの演奏って、知らない人には適当に合わせているって思われているフシがあります。

実際そんな演奏をやっている方もおります。

でもジャズって決して適当にやっている訳ではありません。

ちゃんと修練を積んでいる人の演奏は決して不確実ではありません。

ピーチジャムの先生方もそうです。

本当に、まるで目の前に譜面があるかの様に、美しいメロディーを奏でます。

それは一朝一夕にできることでは、到底ないのです。

そうですね、なんて説明したらよいものか。

例えば、ある場所に旅行に行くとします。

すると、その場所の名所なんかを知りたいですよね?

そんな時、物凄く詳しくその場所を説明できるガイドブックがあったとします。

そうです、そんなガイドブックを作る作業と同じかもしれません。

まず、その土地の全てを把握する。

つまり、その名所で行ったことのない場所は無い、というくらいに網羅するのです。

どんなつまらなそうな所にも、ちゃんと自分の足で歩いて行って調べるといった地道な作業が必要なんです。

そこまでして、初めて全てを語ることができるっていうものなんです。

なんとなく分かっていただけましたか?

とにかくジャズって、もの凄く練習しないといけないんです。

そしてそれを苦にしない人は才能のある人かもしれません。

さあ練習、練習。

 

さて話は変わりますが、先日ご紹介いたしました新しい真空管を使ったアンプ「MV50」。

先日発売になりました。

しかしながら、かなりの品薄状態らしいです。

私も楽器屋で試奏したいと思っていたのですが、それもままならず。

ある程度は予想していたのですが、これほどとは思いませんでした。

もし、楽器屋で見つけたら即買いかもしれません。

それでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

La La Land ~ ダンスと歌とJazzと夢、時々リアル、そしてネタバレ注意!

先日、話題の "La La Land" を観てきました。

今回のアカデミー賞、作品賞こそ逃しましたが最多6部門受賞したようですね。

久しぶり、おそらく「マンマ・ミーア」以来ミュージカル映画鑑賞。

しかしミュージカル映画と言っても、ありきたりの夢物語ではありません。

結構リアルな話を音楽で甘く味付けしているといった感じでしょうか。

多くの人は胸を締め付けられる思いをするかもしれません。

でも、とても前向きな良い映画ですね。

監督はデミアン・チャゼル。前作は「セッション」(原題 Whiplash) で、こちらもアカデミー賞3部門で受賞しています。

まだ観ていなかったので流れでこちらも観ました。

この映画も凄かった。

最後の最後まで騙されつづけます。

この2本を通して見ると、共通の思いが込められている感じがします。

一つはこの監督は相当ジャズが好きなんだなという感想。

そして "La La Land" ではジャズの将来を憂いている、そんな感じがしました。

この監督さんかなりの保守派だと思います。ジャズに関しては。

つまりモダンジャズ寄り。伝統を重んじる人なのかな。

ですから主人公のセブが聴いたり演奏したりする曲もそっち系がほとんどです。

映画の中でもそんな保守的シーンがそこかしこに。

中でも印象深かったのはピアノでフレーズをコピーする時にはテープやレコードを使っていたりするところ。

今ではパソコンに曲を取り入れたりしてコピーをするのが主流ですから。

テープを何度もキュルキュルっと巻き戻しでコピーするっていうのが妙に懐かしかった。

しかし現実は、そんな昔ながらのジャズを聴く人なんてもうあまりいないということを目の当たりにして、いつしか誘われるがままに今風な音楽を、仕事として嫌々ながらにも受け入れていってしまう、そんな流れからもこの監督のモダンジャズ時代への憧れを感じ取れました。

「セッション」ではもちろジャズを題材にしていました。

一流のドラマーを目指す主人公のアンドリューと鬼教師フレッチャーの不思議な関係性が描かれます。この映画、ある意味ミステリーです。でもそれはまたの機会に。

本人も、もともとドラムを勉強していたようで、そういったバックグラウンドが映画にも反映されているようですね。

そしてもうひとつ。

それは「夢」。

もうちょっとハードに「求道」とでも言ったらいいのかな?

道を極めることの難しさと素晴らしさ。

どちらの映画もそのあたりが共通点だと思います。

私が一番心打たれたのはエマ・ストーン演じるもう一人の主人公のミアがオーディションで切々と歌いあげるシーン。

自分が女優を目指す理由。

ミアは女優だった叔母の影響を受け、女優を目指したのだった。

しかし叔母は不遇な生涯を送った。

それを人は愚かだと罵った。

だからミアはこう歌った。

 

Here’s to the ones who dream!

夢を追う愚か者たちに乾杯!

  

夢を追う愚か者。

例えば、もういい歳なのにプロミュージシャンを目指してバイトをしている人。

売れもしない小説を書いている人。

全く理解できない絵を描いて道端で売っている人。

夜通しファミレスでネタを書いているお笑い芸人志望。

私たちは、どこかでそういった「夢追い人」たちを蔑んでいるのではないだろうか?

確かに、彼ら彼女らに多くの人は「もういい加減、現実を見ろ」と言うでしょう。

しかしどんな人でも多かれ少なかれ、夢を見ていた時代があったはず。

でも日々の生活に追われ、いつしか夢を諦めていってしまった。

もしかしたら、いつまでも夢を追っている者たちをやっかんでいるのかもしれない。

どこかでそういう生き方を羨ましく思っているだけなのかもしれない。

ミアはそんな我々に、素直に応援して欲しいと歌ったのかもしれない。

とても心に残る良いシーンだった。

そして映画の終盤。

そう、結局この二人は最終的に結ばれない。

何年かして有名女優になってミアは導かれるように、セブの出した店に夫と共に偶然入る。

席に着くと目の前にセブ。

セブも驚くが、すかさずピアノを弾き始める。

それは、二人が初めて出会った時弾いていた曲。

ここからセブのタラレバの妄想劇(?)が始まる。

その妄想の中で、ミアはトントン拍子に大女優になっていく。

セブはいつもミアのそばに。

そして二人は結婚し、家族になった。

しかしミアの夢は叶うのだがセブの夢はそこにはなかった。

曲が終わるとセブの妄想劇は終了。

セブの前にはミアと彼女の夫がいる。

それが現実。

ミアが店を出る時、振り返りセブを見てうなずく。

それに答えるセブ。

きっとお互い「これで良かったんだよ」と、心の中で言った気がしました。

なんとも切ないエンディング。

でも決してネガティブな別れではなく、明るい未来を予感させて締めくくります。

考えてみたら、もともとこの二人は、友人でも恋人でもなかったのかもしれない。

追う夢こそ違ったが、互いにその夢を叶える為に戦ってきた。

そう、言うなれば戦友。

二つ隣り合わせに並んだ道を、お互いの夢を応援しつつ共に歩いてきた。

そしてそこには本物の愛があった。

二人が出した答え。

それは相手を思うが故に身を引くという行為。

世の中では、最後には一緒に家族になってハッピーエンドという風潮が主流だが果たしてそうなのだろうか?

本当に相手のことを思う時、もしそこに自分の居場所がなかったり、自分がいることによって何か障害になるなんてことになったら、やはり自ら去るべきなのではないだろうか?

そしてそれは相手の夢の為、さらには自分の夢の実現の為でもあった。

セブの妄想にもあったが、どちらかが夢を諦めていたら二人は一緒になれたのかもしれない。

隣り合わせに並んでいた道は、その時から別の方向に離れて行ったのだった。

「私と仕事、どっちをとるの?」なんて無粋なセリフとは無縁の世界なのだ。

色々と書きましたが、そんな小難しい話は忘れて、純粋に楽しめる映画です。

 

最後に、この映画のメインテーマ曲 " Mia & Sebastian's Theme " なんですが、曲の盛り上がり方とかがショパンの「別れの曲」に似ていると思ってしまいました。

そうか、きっとこの二人の行く末を暗示して似せて作ったんだなと思ってしまったのですが、ショパンの「別れの曲」って日本で付けられたタイトルなんだそうですね。なので全く関係ないようなのですが、この曲の背景を調べてみたら1832年に作られたものらしく、なんとショパンがパリでデビューした時のものらしいのです。ここから有名なピアニストになっていったんでしょうね。

またここでも勘ぐってしまいました。

ミアもまた、パリでの映画の仕事をきっかけにスターになっていくからです。

これはひょっとして、やはりインスパイアされて作ったのかな?

ちょっと考えすぎかな。

とにかく、色々な角度で楽しめる映画だと思います。

そしてこの映画を観た後、ちょっとピアノが弾けたらいいなぁと思ってしまうでしょう。

では。

 

 

Ost: La La Land

Ost: La La Land

 

テブラ

こんにちは。

以前テレビでダウンタウン松本人志氏が、もしお笑いをやっていなかったら何をしていたかという質問に対し、将棋の棋士になっていたと答えていました。

その理由というのが中々面白く、身一つ、手ぶらで出掛けていって将棋を指して勝って帰ってくるという、そういう生き方に憧れると言っていました。

先日レッスンの時、先生も同じような事を言っていたのでとても印象に残りました。

 

" ジャズギタリストたるもの手ぶらであれっ! "

 

という事なんです。

「え? じゃあギターは要らないの?」

という事になりますが手ぶらっていうのはあくまでも内面的な話。

ジャズってそもそも何も決めないで演奏するものですよね。

でも、実はそれがしっかりとできている人って意外と少ないと思います。

例えば「枯葉」のキーはGmですよね、通常は。

なのでCm7から始まります。

でもこのCm7、だいたいいつも同じコードフォームで始めてませんか?

普通、何度も演奏していると凝り固まってきてしまうものですよね。

特にこれはギタリストに顕著に現れるようです。

ギターという楽器自体がビジュアル的に学べる楽器ですから仕方ないかもしれません。

でもそれっていうのは本来のインプロヴィゼーションではありませんよね。

頭の中では違う音が鳴っているのに、ついいつものフォームで音を出してしまう。

そして色々と練って、ここはこのフレーズを入れようとか、ここはあのフレーズみたいに。

つい色々と考えて何かを用意してしまいがちです。

何かを用意するっていう事。何かを手に持っているっていう事で手ぶらではなくなっていますよね。

実はこの時点でインプロヴィゼーションは破綻しているのですね。

もし、レコーディングなんて事になったら全部書き譜になってしまう事もあるかもしれません。

それこそもう大荷物。

そうなれば、もはやJazzでも何でもなくなってしまいますよね。

インプロヴィゼーションというのは、例えるならば「錬金術」みたいなものです。

そこにあるただの「音」を、一瞬にして黄金の様に美しく輝く「メロディー」に変えていく作業。

そう考えると実はとても難しい事なんですよね。

ではどうすればいいのか?

さて、これには近道はないようです。

ひたすら練習するしかないでしょうね。

 

 " 浮かんだ音を素直に楽器で表現する  "

 

そう、我々がやるべき事と言ったらこれだけなんです。

たったこれだけなんですが一筋縄ではいかない事なんです。

でも、もしそれができたら " 手ぶら " になれるはずです。

つまり、いつでもどこでも自分のメロディーを奏でられるようになれるのです。

さて今回の先生の演奏は練習なしの一発録りです。

正真正銘 " 手ぶら "の演奏を聴いてください。

 

 


Solo Jazz Guitar 笹原孝之  DIENDA ~ K.Kirkland

 

 

 

 

Giant Steps 

こんにちは。

先日、音楽工房ピーチジャム恒例の発表会がありました。

今回は都合のつかない生徒さんが結構おりまして、結構な少人数という少々寂しい発表会となってしまいました。

発表会は一年間どれだけ成長したか、嫌でもはっきりしてしまう場です。

今回も各々悲喜こもごもがありました。

私の場合は果たしてどちらだったか、まあそれはさておき。

生徒の発表が終わると、こちらも恒例の講師による演奏。

今や、講師先生のちゃんとした演奏が聴けるのはこの発表会の日しかなくなってしまったので、我々生徒たちにとってはとても貴重な時間なのです。

当然、講師二人もこの日に向けてしっかりと調整してきています。

とにかく毎年この日を楽しみにしているそうです。

それでもやはり生徒の模範にならなくてはならない為か少々緊張気味でもあります。

しかし、いざ演奏が始まると毎年恒例、我々を「別世界」へと誘ってくれるのです。

まずはピアノの玲子先生のペンによるオリジナル曲 "Manhattan"。 

この曲はちょっと昔、バンド用に書かれた曲だと記憶しています。

でも今回はデュオ演奏です。

3拍子の難しいノリの曲ですが、何かリズム隊がいるのかと思ってしまうほど安定したリズムでグルーブしています。

コード進行は変形マイナーブルースといった感じで自由度が高いです。

そんな自由空間の中、ギターはまるで水を得た魚。

クロマティック泳法で泳ぎまくります。

そしてそれを受けピアノも静かにスタート。

歌うように、大切にメロディーを紡いでいきます。

コードを弾くと、それはまるで波紋のように美しく拡がっていきます。

ギタリストが嫉妬する瞬間ですね。

それにしても美しい曲です。

じっくりと聴いてみてください。


Manhattan - by Reiko Sasahara ~ 笹原孝之(g), 笹原玲子(p)

 

そして次は言わずと知れた "Giant Steps"。

コルトレーンの、いわゆる「コルトレーン・チェンジ」という進行を使った曲で、おそらくコルトレーン自身もその練習用のエチュードとして作ったらしいです。

この曲ができた当時としては本当にクエスチョンマークだらけの曲だったことでしょう。

実際音源を聴いてみるとコルトレーンのソロの後、トミー・フラナガンの迷いだらけのピアノソロが聴けます。

録音されたのが1959年。名ピアニストでさえ戸惑いを隠せない演奏になってしまうほど、当時としてはそれだけ画期的な曲だったのでしょう。

そしてそれから58年。

あれからどれくらいのプレイヤーがこの曲を演奏したことでしょう。

You Tubeなんかでも色々と聴く事ができますよね。

しかし、その中でもこの演奏はかなり上位、いやもうナンバーワンと言っても過言ではありません。

一言で言って、いわゆる「学習臭さ」が全くないのです。

基本的にこの曲を演奏する場合、テンポが速くなるとコードの提示が大変になってくるのです。

そうなると大体のプレイヤーはペンタトニックや苦し紛れのバップフレーズに頼ってしまいがち。

ところが先生たちの演奏はそうはなりません。

本当に純粋な「歌」となって我々に届くのです。

お互いの位置を確かめ合うようなイントロからスタート。

あくまでも心の赴くまま歌って行きます。

慎重に大切に、時に攻撃的に、時にいたわるように。

そこにはフレーズもリックも無いのです。

そしてそれは途切れる事なく続きます。

まるで泉が湧き出るように・・・


Giant Steps - by John Coltrane ~ 笹原孝之(g), 笹原玲子(p)

 

最後は歌モノです。

ビリー・ジョエルの曲ですね。

ピアノの玲子先生が歌うのですがこれがまたイイんです。

先生の声はとてもしっとりしています。

そうですね、例えるならカントリーマアムくらい(笑)

いわゆる世間で言われているような女性的な声ではないのです。

ですからこういうしっとりとした曲調に合っているんです。

さらにピアノ演奏で培った完璧な音程とリズム。

申し分ないでしょう。

そしてそこに優しくフラメンコギターが寄り添います。

まさにエンディングに相応しいチューン。

ちょっと目を閉じて聴いてみてください。


And so it goes ~ 笹原孝之(g), 笹原玲子(p)

 

いかがでしたでしょうか?

私たちは良い先生に恵まれました。

全くありがたいことです。

しかし今回の"Giant Steps" 。

もしコルトレーンが生きていたらどう思ったんだろうか?

ちょっと考えてしまいました。

きっと生徒の皆さんにも良い刺激になったはずです。

また来年が楽しみです。

では。