Dead Musicians Society

日々の話や音楽工房ピーチジャムのことを綴っていきます

テブラ

こんにちは。

以前テレビでダウンタウン松本人志氏が、もしお笑いをやっていなかったら何をしていたかという質問に対し、将棋の棋士になっていたと答えていました。

その理由というのが中々面白く、身一つ、手ぶらで出掛けていって将棋を指して勝って帰ってくるという、そういう生き方に憧れると言っていました。

先日レッスンの時、先生も同じような事を言っていたのでとても印象に残りました。

 

" ジャズギタリストたるもの手ぶらであれっ! "

 

という事なんです。

「え? じゃあギターは要らないの?」

という事になりますが手ぶらっていうのはあくまでも内面的な話。

ジャズってそもそも何も決めないで演奏するものですよね。

でも、実はそれがしっかりとできている人って意外と少ないと思います。

例えば「枯葉」のキーはGmですよね、通常は。

なのでCm7から始まります。

でもこのCm7、だいたいいつも同じコードフォームで始めてませんか?

普通、何度も演奏していると凝り固まってきてしまうものですよね。

特にこれはギタリストに顕著に現れるようです。

ギターという楽器自体がビジュアル的に学べる楽器ですから仕方ないかもしれません。

でもそれっていうのは本来のインプロヴィゼーションではありませんよね。

頭の中では違う音が鳴っているのに、ついいつものフォームで音を出してしまう。

そして色々と練って、ここはこのフレーズを入れようとか、ここはあのフレーズみたいに。

つい色々と考えて何かを用意してしまいがちです。

何かを用意するっていう事。何かを手に持っているっていう事で手ぶらではなくなっていますよね。

実はこの時点でインプロヴィゼーションは破綻しているのですね。

もし、レコーディングなんて事になったら全部書き譜になってしまう事もあるかもしれません。

それこそもう大荷物。

そうなれば、もはやJazzでも何でもなくなってしまいますよね。

インプロヴィゼーションというのは、例えるならば「錬金術」みたいなものです。

そこにあるただの「音」を、一瞬にして黄金の様に美しく輝く「メロディー」に変えていく作業。

そう考えると実はとても難しい事なんですよね。

ではどうすればいいのか?

さて、これには近道はないようです。

ひたすら練習するしかないでしょうね。

 

 " 浮かんだ音を素直に楽器で表現する  "

 

そう、我々がやるべき事と言ったらこれだけなんです。

たったこれだけなんですが一筋縄ではいかない事なんです。

でも、もしそれができたら " 手ぶら " になれるはずです。

つまり、いつでもどこでも自分のメロディーを奏でられるようになれるのです。

さて今回の先生の演奏は練習なしの一発録りです。

正真正銘 " 手ぶら "の演奏を聴いてください。

 

 


Solo Jazz Guitar 笹原孝之  DIENDA ~ K.Kirkland